NEWS

Open Data Day 2014 in e-ZUKA まとめ

OpenDataDay

世界中の国や都市などの公共機関が取り組んでいるオープンデータ政策をサポートし、公共データ利用を促進するためのイベントを世界で同日開催するInternational Open Data Day。2014年は2/22(土)がその日となりました。日本でも、オープン・ナレッジ・ファウンデーション・ジャパンの呼びかけの下、International Open Data Day 2014 in Japan として32の地域が名乗りを挙げる一大イベントとなりました。飯塚で開催したOpen Data Day 2014 in e-ZUKA(以下、本イベント)ももちろんその一つです。

本イベントの開催のキッカケとなったのは、e-ZUKA Tech Night Vol.19で開催されたオープンデータアイデアソン。三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社の田口壮輔さんと杉原美智子さんにファシリテーションして頂いたこのアイディアソンの中で、オープンデータデイの存在を知り、飯塚でも是非やってみようという事になったのでした。

5

ちなみに今回のテーマになった「遠賀川をテーマパークにしよう」は、Vol.19のアイディアソンでとあるチームが考えたものです。「川沿いに何もなくて、散歩できる歩道も無い(あるけど浸水してなくなる・・・)などの課題はあるけれど、オープンデータを活用すれば大好きな遠賀川をデートコースになるような素敵な場所に出来るのではないか?」という問題意識から生まれたものです。アイディアソン内での人気投票で最も得票を集めたこのテーマを、本イベントではそのまま使わせてもらいました。このタイトルのおかげか、32の地域がある中からなんと飯塚の名前が取り上げられちゃいました。

といっても、ここはTechなコミュニティなので、単に活用アイディアを考えるのではなく、「オープンデータをしてきちんと使えるものとして整備できるエンジニア育成」を目指すことにしました。きちんと使えるオープンデータを作るためには、少なくとも以下のようなことを考えないといけません。

  • どのようなデータが必要?
  • データの構造はどうあるべき?
  • 情報をどのように表現し利用する?
  • そのデータをどのように収集、蓄積する?
  • データをどのようにリンクさせる?

当日は、まず近畿大学の山崎先生から、Linked Open Dataの標準に則ってデータを整備することの重要性をレクチャーして頂きました。標準に則していないと、SPARQLを始めとするオープンデータの利便性を享受できないことが、とってもよく分かりました。

sparql

続いて、日本ユニシスの三浦仁さんからRDFトリプルのなどの基礎知識と、国内外のオープンデータの活用事例を解説して頂きました。ん〜これは飯塚も頑張らないと〜。

opendata_showcase

そして、ここからが長い道のりだったアイディアソン。

まずはどのようなデータを集めるか、という所から。テーマパークという応用範囲の広いテーマが邪魔してか、つい活用の話に流れてしまってどんなテーマを整備するかが定まらず議論がうろうろ。でも、最終的には、複数の市町村からなる遠賀川流域を一つの地域とみなして、「各市町村がバラバラに提供しているイベント情報をオープンデータとしてきちんとした形に整備すること」を当面の課題として設定することができました。

working2014-02-22 17.54.44-1

そして、標準に則るという側面から、ダブリンコアなどの標準化されたメタデータの語彙(ボキャブラリ)を使うことが求められるということを山崎先生から教えていただくと、大半の参加者は「ダ、ダブリン?」という反応。でもそこは「エンジニア育成」を目指す本イベント。安易にレクチャーして頂くのではなく、分からないことはその場でそれぞれが調べてみて疑問をぶつけるという繰り返しで進めました。

なので、参加者は全員が調べている時は、きっと日本で最も静かなオープンデータデイだったはずです。

色々調査した結果、イベントはRDF Calendarをベースにし、公共交通情報データ標準などいくつかのボキャブラリを組み合わせれば構築できそうだということがわかってきました。

2014-02-22 17.54.55

本イベントでは、具体的なデータの作成までは至りませんでしたが、標準に準拠するためには何を知らないといけないのかは、おぼろげですが見えてきたように思います。

あと、エンジニアリング的には標準に準拠するだけでもいいのかもしれないですが、「遠賀川をテーマパーク」にするには、流域自治体に策定したフォ―マットに基づいたデータの開示を働きかけていく必要があり、どういったワークフローでそれを実現していくのかを一緒に考えるなど、ちょっと泥臭い人間的なことにも足を踏み入れないと動いて行きません。

今後はHack Nightなどの場で、オープンデータに興味をもつ人を対象にした勉強会を行いながら、データを整備しつつ少しずつ働きかけていければと思っています。

最後に、本イベントは西日本新聞に記事掲載されました!この分かりにくいイベントを上手くまとめて頂いた記者さんに感謝!